25 August 2010

満月 


力強い光を放つまんまるい物体と向かいあってうずくまる

そよ風に乗っかるように 小さく鼻で呼吸をして 軽く眼を閉じた

"pienso en ti"
ぴえんそ えん てぃ

満たされた月を見つけると今でも君をおもいだす

だって君は月の子だったから
まるで太陽の世界には欲しいものはなんにもないよ。とでも言いた気に
躊躇わず
月に導かれては 一歩また一歩と 順調に歩を進めていくんだもん

まったくずるい、すごい、月の申し子
それはそれは 不思議な引力を持つ子だった

夢を語るその瞳に吸い込まれそうになってしまったあの日、
君はとうとう本当に
月の子 になってしまったのか と思った

大きな鼻 長い腕 照れ笑い

夢 へと向かう道は一つではない
それなのに それなのに

君の意志はどんな岩よりも固く

移ろう街を見下ろしながら
人知れず じわじわと昇る月の強烈な光が
また 少しだけ アタシに君を想わせた、 八月の晩

気がつくとアタシはベランダで柚子をむしゃむしゃと食べていた

1 comment:

  1. 都会の月ってかんじだねぇ

    元気のいい月を見においで、田舎に・・・

    ReplyDelete